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選手を成長させるハングリー精神の追求  

静学スタイル・井田勝通p67  

 今の日本は、自分が満州から引き上げてきた幼少期には全く想像もできなかったほど豊かになっている。
 昭和から平成へ移行した約25年前のダブル時代ほどではないにせよ、日本の場合は街中に失業者やホームレスがあふれているわけではないし、ひったくりや泥棒が日常茶飯事のように出没するわけでもない。こんんなに安全で平和な国は滅多にない。ブラジルのようにファベーラ(貧民街)から出てきた選手が名を挙げ、世界へ羽ばたくような例は、日本には少ないのが現実だ。
「そういう環境下ではハングリー精神は育たない」と言う人は少なくない。
 確かに、貧乏で飯が食えないから、絶対にこの日の試合に勝って銭を稼がなければばいけないような選手は、目の色を変えて戦うだろう。そういう種類のハングリー精神というのは、確かに存在する。
 だが、俺は「ハングリー」という言葉には別の側面があると思っている。
 かつてゴルフ界にジヤック・ニクラウスという「帝王」の異名を取った名選手がいた。2005年に引退し、現在は第一線からは退いているが、全米や全豪などのビッグトーナメントを次々と制した、誰もが知る人物である。
 彼は貧乏人の子供ではなかった。にもかかわらず大成している。その理由は極めてシンプルだ。
 ニクラウスは、自らの技術向上に対してどこまでもハングリーだったのだ。
 だからこそ、高齢になるまで、より高いものを追い求め続けた。その貪欲な姿勢は引退するまで衰えることがなかった。
 人をハングリーにさせるのは、生い立ちという要素だけではないのだ。
 この例をサッカーに置き換えてみると、選手にはそれぞれ足りない部分がある。ある選手は足の遅いことに悩み、ある選手はフィジカル的に弱いことが課題だったりする。いくらドリブル練習をしても思うようにボールコントロールができなかったり、シュートがなかなか決まらないというのはよくあることだろう。
 このマイナス面を克服するために、何らかのアクションを起こさなければいけないと考え、自ら取り組んでいける選手は、ハングリーであり続けられる。
 そういう前向きな思考を持てる人間でなければ、決して大成しないのだ。
 俺自身も、昭和51年度の選手権のことを忘れたことは一度もない。初の選手権出場で、有ケ谷二郎や三浦哲治や宮本昭義、1年生だった杉山誠・実兄弟たちの活躍もあってとんとん拍子で決勝まで勝ち上がれたものの、最後に浦和南に4-5で敗れたショックは非常に大きかった。
 自分としては、ウチの持ち味であるボールをキープしてドリブルでゆっくり攻めるサッカーがどの程度できるかが「勝負のカギ」だと思っていた。が、ボールを持ち過ぎる悪い面が出てしまった。そこを浦和南は狙っていた。中盤からの素早いつぶしを仕掛けてきて、ウチの選手たちが不用意にボールを奪われ、カウンターを決められた。選手たちはよくやってくれたと思ったが、あのつぶしに屈するようなテクニックではダメだと感じたのもまた事実だ。 「来年はこれを超えるテクニックを身につけて、再び選手権決勝の舞台に戻ってくるんだ」と強く決意したのをよく覚えている。
 それを果たすまで20年近い年月がかかってしまったが、俺ら学園の選手だちと一緒に大願成就させた。そこまで気持ちを維持できたのも、あの時の悔しさと挫折感があったから。壁にぶつかった方が、ハングリー精神は育つのだ。
 ちょっとした壁にぶつかった時、人は「自分には才能がないから努力しても無駄だ」と諦めてしまいがちだ。しかし、生まれつきの才能というのは、それほど大差のあるものではない。時間をかけて努力すれば、埋められない差はぼぼないと俺は考えている。
 そこで、肝心のI歩踏ん張るかどうか……。
 この一歩が、成功者と失敗者の分かれ道なのだ。
 1から99までは、普通の身体能力と才能、努力で誰でも到達できる。しかし最後の一歩というのはとにかく苦しい。その壁を破れるかどうかは、ほんのちょっとの差でしかないが、そこで諦めて引き返してしまう人と、何とかして乗り越えてしまう人がいる。両者の結末は天と地ほどの差になるのだ。
 苦しい苦しい一歩を乗り越えるためにも、自分の中でハングリー精神を持ち続けることが肝要だ。
 繰り返しになるが、ハングリーというのは貧困や不遇などの外的要素だけに起因するものではない。
 それを指導者はしっかりと再認識したうえで、子供たちの内的ハングリー精神を引き出すように仕向けていくべきだ。
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カテゴリ: H30 サッカーの本質

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