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中村憲剛があえて指摘。ロシアW杯で出番ゼロの大島僚太にないもの  

ロシアW杯では出番がなかった大島僚太
「今日の僚太は、様子見な感じだったね」

 Jリーグ再開初戦、気温19度と涼しい敵地・札幌で迎えた川崎フロンターレは、2-1でコンサドーレ札幌に勝利した。その試合後の、中村憲剛の”大島僚太評”である。

 大島は、ロシアW杯に挑んだ日本代表に選出され、チームは2大会ぶりにベスト16入りを果たすなど、戦前の予想を覆(くつがえ)す好成績を残したが、個人的には厳しく、つらい大会となった。大会直前までは主力と目されながら、4試合で一度もピッチに立つことができなかったのだ。

 大会後、大島は「これが、今の自分の実力」と淡々と語ったが、その表情には悔しさが滲(にじ)んでいた。

 そんな大島同様、所属チームの”先輩”である中村もW杯で苦しさ、悔しさを経験した選手だ。2010年南アフリカW杯で代表メンバー入りし、チームは今回と同じく16強入りを決めたが、中村自身は決勝トーナメント1回戦、パラグアイ戦でのわずかな出場時間しか得られなかった。

 川崎Fの新旧ふたりの司令塔は、奇しくも同じような経験をしているのだ。

「似ているけど、タッチラインを超えるかどうかの差は、すごく大きいと思う。超えられなかった悔しさは、僚太にしかわからないけど、それは相当なものだと思うよ。俺は(試合に)出たけど、かなりの悔しさがあったからね」

 厳しい現実に直面した大島を慮(おもんばか)って、中村はそう言った。

 中村にとっては、南アフリカW杯における悔しい経験が、その後の成長につながる大きな糧となった。大島に期待されるのは、同様の飛躍である。ロシアW杯での悔しさを晴らすためにも、4年後のカタール大会へ向けてリスタートとなるこの日の札幌戦では、大島のプレーぶりが注目された。

 はたしてこの試合で、W杯前の大島との”違い”は見られたのだろうか。中村はこう語った。

「W杯前との違い? う~ん、もともとすげぇからね、あいつは。(W杯に)行く前からすごかったから。何でもできる選手だからね。

 今日は久しぶりの試合だったんで、”自分が”というよりも、前線の選手をうまく泳がしながらやっていた。ただそれは、それだけの余裕があるからできること。W杯前と何が変わったかというと、正直まだわからないけど、あの経験はあいつの今後のモチベーションになるよ。俺がそうだったもん」

 中村が言うとおり、この日の大島は無理をせず、試合での自分の感覚を呼び戻すような感じでプレーしていた。W杯での悔しさをプレーに転化し、凄みを見せるのはもう少し先のことかもしれない。

 大島がロシアで苦しい時間を過ごしていた頃、日本にいた中村はロシアW杯を見て、世界のプレーを堪能していた。そして、いくつもの試合を観戦しているなかで気づいたのは、必ずしもボランチがゲームを作っているわけではないということ。そうしたスタイルは薄れつつあって、ひとつの新たな傾向が見られたという。

「優勝したフランス(のボランチ)には、(ポール・)ポグバと(エンゴロ・)カンテがいて、じゃあゲームメーカーは?っていうと、(アントワーヌ・)グリーズマンがやっていた。ボランチじゃない選手を、無理にボランチにしたり、ゲームメーカーにしたりしていなかった。

 その国にいるタレントありきというか、いる選手を(その選手に合ったポジションで)そのまま使って、その個性を100%、出そうとしていた。

 ブラジルも(サイドバックの)マルセロとダニエウ・アウベスがゲームを作って、中盤の3人がハードワークをする。アウベスが故障していなくなったんで、(フィリペ・)コウチーニョを使っていたけど、ボランチの”ゲームメーカー”というのがなくなってきているよね。

 クロアチアは、(イバン・)ラキティッチと(ルカ・)モドリッチの個性を(ポジションは関係なく)存分に生かしていた。同じくウチだったら、僚太がいるんで、彼のよさを存分に生かすようにすればいい。今回のW杯は、ボランチだから(ゲームを作る)というのがなく、(各ポジションで)各々の選手の特徴を十分に生かす流れになっていた」

 日本代表では、柴崎岳が自らの個性を発揮し、輝いた。中村の言うW杯の流れに乗って評価を高めた選手のひとりだが、大島にとっては今後、強力なライバルとなる存在だ。

 ふたりとも、個性は違うものの、ゲームを作れる選手。これからも、日本代表ではレギュラーの座をめぐって椅子を争うことになるだろうが、中村は「どっちを使うか、という論争はしなくてもいい」という。

「岳も、僚太も、いい選手。だから、どっちかを使うんじゃなくて、両方ボランチで使えばいいと思う。ふたりとも守備は悪くないし、攻撃能力も高い。ふたりは縦並びでも、横並びでもできるからね。

 それでも『守備が……』というなら(フランス代表の)カンテみたいな選手をアンカーに入れて使えば、よりふたりのよさが出るから、そういうシステムでも面白いと思う」

 大島と柴崎のコンビは見てみたいが、そのためにはW杯で評価を上げて先行する柴崎に対して、大島は自らの存在を一層アピールしていかなければいけないし、より成長した姿を見せていかなければいけない。そのうえで、日本代表を率いる新たな指揮官の信頼を勝ち取ることが求められる。

 そのためには「必要なことがある」と中村は言う。

「個人的に、僚太には前から言っていることだけど、選手としての”怖さ”が必要。ボランチとして点を取れる”怖さ”、アシストする”怖さ”、そういう”怖さ”を身につけてほしい、と言っている。

 でも、今日の試合もそうだったけど、シュートが足りないよね。僚太はその意識がまだ足りない。あとは全部持っている選手なんで、ホントそこだけだよね」

 中村にとって大島は、隣でボランチのあり方を教えてきたかわいい後輩だ。しかも、自分が成し得なかった代表の中心選手になれる可能性を十分に秘めているからこそ、彼に対する期待は大きい。

「僚太には代表の”顔”になってほしいけど、あとは彼がそれを望むかどうかでしょ。自分が望まないと、本当にその場所にはいけない。そういう気持ちをあまり表に出さないタイプだけど、内に秘めているものは計り知れないし、性格的にもかなり図太いものがある。まあ、それがないと、トップレベルにはいけないですよ。

 ここからどうなるのか、僚太に期待したいね。最終的には代表の中心選手になることはもちろん、誰々タイプというボランチではなくて、『大島僚太』というタイプのボランチ像を作ってほしい。そういう存在になれる選手なんで」

 中村は優しい表情でそう語った。

 ロシアW杯で同じく出場機会がなかった鹿島アントラーズのDF植田直通は、すぐに海外移籍を決めてベルギーへと旅立った。ロシアW杯での悔しさを4年後に晴らすために、新しい道を選んだのだ。

 同様の悔しさを晴らすため、大島は川崎Fでどう成長し、どう変わっていくのか。中村の言葉が、そのための”指針”となる。
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カテゴリ: H30その他

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